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ロトの勇者のはなし①

次回のテーブルトークRPGのための資料としてドラクエ世界を検証していました。ドラクエ2のワールドマップなどはゲームに必要十分な情報が盛り込まれているのに未設定部分も豊富に残されていて、非常に秀逸です。容量の制限がある中あれだけのものは今さらながら立派ですね。

なにぶんゲームプレイから何年も経っていて結構忘れている部分もあるので色々さかのぼっていると、設定の裏といいますか、「本当はこうだった歴史の裏側」的な疑問が出てきます。

だいぶ前の記事に「本当はこうだったローレシアの王子」を書いてみました。別に珍説奇説を出そうとしたつもりはなく、ドラクエ2の冒険譚を「史実ならこうだったのでは」と推測してみた結果です。これ以外にも検証したことがあるのですが、とりあえず今回はドラクエ1の主人公「ロトの勇者」に関して書いてみます。

まず「ロトの勇者」とは何者か、ということです。設定上、数百年前に活躍した伝説の勇者ロトの子孫、という経歴しかありません。後からこの「勇者ロト」はドラクエ3の勇者(仲間を含む可能性もあるようです)を指すという設定が加わりましたが、その程度です。

「数百年前」というと用例上、少なくとも二~三百年以上は昔でしょうから現代から見て江戸時代中期より前、という感覚です。武田信玄の子孫とか、足利尊氏の子孫とか、そういう感じだと思えば近いのではないでしょうか。直接記憶している世代は魔法使いや魔物のような超常識的人物を除いては存在しません。伝承もこれだけ時が経つと必ずしも正確には伝わらないものです。

ゲームに登場する「ロトの勇者」はろくな武器防具も身につけず、お金もあまり持っていません。仮に勇者ロトおよび子孫が貴族的な支配階級になっていたとしても、彼はその一員ではなさそうです。そもそも数百年の平和な時代を経ていれば、「子孫」はしばしば数千、数万人に増えたりします。

その中から彼に白羽の矢が立ったのは、世界背景から考えて預言(予言)や占いによって選出された可能性が高いと思われます。ゲーム中「勇者候補が大勢いた」ことを思わせる表現がないことから、ロトの子孫の誰でもよかったわけではないことが推測されるからです。

すなわち、うがった見方をすれば「ロトの勇者」は預言だけに保証された、素性の知れない青年であるといえます。数百年の血統を証明するのは魔法的手段による認定くらいなもので、それすら正しいものだったかどうかは誰にもわかりません。

いともたやすく武具を扱い魔法を習得して使いこなす彼が特別な存在だったのは間違いありませんが、それが「勇者の血筋」によるものだとは限りません。そしてたとえ本当に「勇者の血筋」だったとしても、ただそれだけの理由で竜王を倒し得たとするのは早計です。

つまり、「ロトの勇者」のくだりはヤラセ、でっちあげで、ラダトーム王が「いちおう勇者ロトの末裔のひとり」である部下の優秀な兵士を抜擢し、竜王軍の撹乱と国民の士気高揚のために『勇者降臨』のキャンペーンを行ったのではないかという疑いがあります。

だいたい昔から腑に落ちなかったんですよね。「死んでしまうとは情けない」という王様のお言葉が。あれがもし、勇者キャンペーン中の部下に対する発言だとしたら納得できます。勇者は民に期待を与えるものでなくては意味がなく、敗北の噂が流れるだけで存在意義を損なうからです

ここまで考えると前提とした預言や占いもヤラセの疑いが出てきますが、まがりなりにも精霊の守護を受け、魔法や魔物が存在する世界ですから一切合財ウソだということはないと思います。ニセ勇者という行為自体に、勇者のバチが当たるかもしれませんし。

こうして見るとドラゴンクエストⅠの主人公「ロトの勇者」は、勇者ロトの大勢いる末裔の必ずしも直系ではないうちのひとりであり、望むと望まざるとにかかわらずラダトーム王以下の政治目的によって召集され、ある程度の訓練と才能によって特異な能力を持ち、結果的に竜王を倒すという奇跡的功績を挙げてしまった、という真に数奇な人物なのです。

もっとも「勇者ロトの子孫」というのが、竜王を倒してしまった英雄に対する後付けの伝説だという可能性も捨て切れませんし、最初にラダトーム城を旅立った「ロトの勇者」と竜王を倒した人物が本当に同一人物だったのかどうかも誰も保証してくれません。

まあ、ゲーム開始からクリアまで電源を切らず、一度も死なずにクリアしたプレイヤーの「ロトの勇者」はきっと同じ人物なのでしょう。そうじゃなければ竜王の返り血に染まり兜を目深にかぶった鎧武者なんて体格が同じくらいなら見分けが付くわけがありません

今日は素性をメインに書きました。まだまだまだまだ疑ってみる余地はいっぱいあります。また近日中に書きますのでおヒマなかた限定でお読みくださいませ。あと、「その考えはゲーム中でこういうことがあるからオカシイのではないか」というご意見もお待ちしてます。

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埼玉在住の歴史好き、かつカープファンです。歴史のはなしを書こうと思って始めたのにいつのまにかカープのはなしばかりに…。

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